前号において、ワープロ(日本語文書作成装置)の技能教育の必要性とその構築過程における諸問題について述べた。
本稿では、前号の論述を引き継ぎ、割愛部分を補填する。 また、前稿に対し各方面から貴重なご意見をいただき、新しい着想や分析を試みたのでこれを述べることとしたい。
刺繍技術は何百種類もあるが、基礎的なものとしては十数種類と考えられ、技法を大別すると、「点」「線」「面」「平面立体」の四種類に分けられる。
既に多くの人が認識していることであるが、ワープロを含むOA(Office Automation)機器は、その操作に機種差があり、文書データに互換性がなく、ビジネス・ツールとしての汎用性を大きく阻害している。
ワープロ教育で特に問題となるのは、キーボードのキー配列の違いであり、ワープロの基礎教育では、いかにこの問題を克服するかが重要な課題となる。
前号では、この点に一切触れずに論述したので、本稿で取り上げたい。
ワープロ教育を推進するとき「ワープロ」を「パソコン」と同一視することによって、教育上の問題点を混同した判断を下し易い。
平成元年秋、北九州商工会議所主催の「ワープロ教育者研修会」において、中央より来下の講師は「ワープロ専用機は、今後の5年以内にパソコン搭載型のワープロ・ソフトによるワープロに吸収され、存在価値が無くなる(意訳)」との趣旨の講演を行った。
5年前とはいえ、日本商工会議所のワープロ検定委員の委嘱をうけた見識ある講師の見解において・・・、である。
本件、講演後に意見を呈しておいたが、ここでは、「現実は、さほど判断が難しい」という事例として読み替えることとしたい。
平成7年を迎え、講師の指摘の一部は実現したかにみえる。 今日、パソコン搭載のワープロ・ソフトウェアは世にあふれている。 特に昨今話題のマイクロソフト社のMS-Windowsの配下で作動するワープロソフトの機能は著しく高度化し、専用機の機能を超えたものさえ出現している。 しかしながら、ワープロ専用機はパソコンと以上に販売されており、高度な機能を搭載した機種が続々と発表されている。 現状では、その存在価値が薄れているとは到底考えられない。
特殊な機能に限れば、パソコン搭載のワープロの方が優れている一面はある。 しかし、専用機は高速操作や実務的操作性などの総合性能の高さで存在価値を主張し続けており、今後の5年以内にも交代劇はみられそうにない。
また、平成6年度の日本商工会議所主催のワープロ検定における受験合格者の使用機種は、ほとんどが専用機による受験者で占められている。 しかしながら、確実に、パソコンに搭載したワープロ・ソフトによる検定の受験者は増加の傾向を示しているにもかかわらず中級以上の合格者にしめる割合は低迷を続けており、みるべき成果が得られているとはいえない状況である。 日本商工会議所からは受験機種ごとの合格率は発表されていないため、これらのことが明白になるのは数年後になるものと思われる。
このような複雑な技術環境の中で、一般の利用者や末端の実務教育者に携わる教育者に、この問題の混同がみられるのはやむを得ないことからもしれない。
これらの点にも付言しながら前号を補填したい。
前号でも触れたが、ワープロ教育は「高速入力と応用操作」の技術的側面と「機器知識と文書知識」の側面があることは多くの指摘のあるところである。
とくに、ワープロ技能教育を高次に展開していくためには、「応用操作技能の修得」と「知識の習得」が重要である。 この問題については前号で詳細を論じえなかったので、ここで改めて分析を試みる。