「一遍上人絵伝」にみる女たちの服飾
−中国初頭・13世紀の女子服飾−

葉山 美知子


はじめに

日本の中世は、ことさらに正体をつかみにくいと言われている。 そうだろうなと肯く。 13世紀、鎌倉時代以降四百年間の中世は、なかなか見えてこない。 一度限りの時が未来空間から必然的に訪れ、現世の時をすごし、永遠の空の中に消え去る。 その消え去った時空の集積が歴史となっていくならば、現世にあらわれた一度限りの時を、切り口鮮やかに切り取って、その正体を探りあてたいと考える。

前号の紀要27号で「帯は紐なり」を述べたが、その正体解明の鍵に、古代から中世にかけての服飾があると推察した。 今回の紀要では、中世初頭の女子服飾をとりあげる。 切り取る手段を「一遍上人絵伝」(国宝十二巻、清浄光寺・歓喜光寺蔵、巻七の一部は東京国立博物館蔵のもので、「日本の絵巻」(小松茂美編集解説)中央公論より出版)という絵巻物に求め、 つぐさに考察したことを述べてみる。


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